これまでにわれわれは、ミクリッツ病(MD)患者のTh1/Th2バランスが健常者に比べ、Th2にシフトしており、MがTh2疾患であること、さらにステロイド治療によって正常直に近づくことを報告した(Mod Rheumatol. 2008に掲載)。さらにその研究成果を2008年第62回日本口腔科学会学術集会で発表し、ポスター優秀賞を受賞した。 加えて、MDにおけるTh1、Th2、およびTregに関連するサイトカイン、ケモカイン、ケモカインレセプターの発現をシェーグレン症候群(SS)と比較検討した。MDとSS患者の口唇腺や腫脹した唾液腺を用いて、免疫組織化学染色およびreal-time PCRによりサイトカイン、ケモカイン、ケモカインレセプター発現を解析した。その結果、SSではTh1およびTh2タイプの種々の分子の発現が亢進しており、唾液腺へのIgG4およびTregの浸潤はほとんどみられなかった。一方、MDではTh2およびTregタイプの分子の発現が亢進しており、唾液腺へのIgG4およびTregの強い浸潤がみられた。以上の結果より、MDはSSとは明らかに異なる病態を呈しており、SSの一亜型ではなく独立した疾患である可能性が強く示唆された。
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