研究課題
【目的】ヒト末梢血単核球を移植したモデルマウスにゾレドロン酸(ZOL)とプレドニゾロン(PSL)を投与し、さらに口腔内細菌感染を想定した菌体構成成分(LPS)の処理によって生じる骨量変化、血清RANKL、OPG濃度の変化、T細胞への影響について検証した。【材料および方法】T/B細胞を欠損したNOD-scidマウス(8週齢・雄)を用いて、健常ヒト末梢血から単離した単核球(hPBMCs)を腹腔内に移植した。これに21日間徐放性ペレットであるPSL(1.5mg)もしくはPlacebo(1.5mg)を皮下へ埋入し、続いてZOL(100μg/kg)もしくは同量のPBSを週1回で計4回皮下投与を行った。ペレットが吸収される3週目で下顎骨膜下にLPS(10μg)を局注し4週目で検体を採取した。解析は下顎骨・脛骨の骨形態計測、ELISA法による血清RANKL、OPG濃度の測定、フローサイトメトリーによる脾臓内ヒトγδT細胞の測定を行った。また、hPBMCs移植群での骨髄中ヒト由来T細胞の局在を免疫組織学的に検討した。【結果】hPBMCs移植群と非移植群双方において、ZOLの投与で骨吸収能・骨形成能の抑制効果を認め、ZOL/PSL併用群でその効果が著明であった。またLPS処理により血清RANKL濃度の上昇がみられた。hPBMCs移植群におけるZOL投与で骨髄および脾臓でのヒト由来T細胞の局在に変化を認めた。【結論】hPBMC移植マウスにおいてZOL投与により骨代謝回転の抑制効果を認め、PSLを併用することでその効果が増強された。また、ヒト由来T細胞の免疫応答にも変化を生じることが示唆された。
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