RT-PCRで作製したFasLのcDNAをpcDNA3.1D/V5-His-TOPOに組み込んでpFasLを作製した。次に、De11のcDNAから、アポトーシス誘導作用を有する第三EGFドメインと細胞外基質への沈着作用を有する第一discoidinドメインをコードする配列をPCRで増幅し、これをpFasLのFasLのC末端に組み込み、pFasL/pE3D1を作製した。口腔扁平上皮癌細胞株(SCCKN)にpFasL/pE3D1およびpFasLをそれぞれ遺伝子導入した。また、遺伝子導入された細胞を蛍光タンパクによって標識するため、EYFP遺伝子をco-transfectした。 Hoechst33258染色とEYFPの観察により、pFasL、あるいは、pFasL/pE3D1の遺伝子導入により、がん細胞にアポトーシスが誘導されることが明らかになった。また、pFasL/pE3D1の蛋白が細胞外基質に沈着していることが、免疫染色によって証明された。これらの結果により、Del1によってFasL蛋白が細胞外基質に濃縮され、その蛋白が有効にアポトーシスを起こすことが確認された。Del1の沈着ドメインが、種々の生理活性物質を、その機能を損なうことなく、組織に濃縮できることが示され、今後は、様々な遺伝子療法への応用が期待される。 以上の結果を踏まえ、今後は研究実施計画に従い、生体内での効果について、検討を加える予定である。
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