揮発性吸入麻酔薬であるセボフルレンを単に全身麻酔薬としてではなく、虚血性心疾患に対する心筋保護薬として投与時期および投与方法等を検討し、心筋虚血再灌流障害に対する心筋保護効果について検討を行った。実験群はcontroi群と3.9%セボフルレンの投与方法によりS1群、S2群、S3群、S4群、S5群、S6群とした。循環動態についてはRPPを指標に行った結果、全ての群において有意差は認められず、各郡の循環動態は同一条件であることが証明された。心室性不整脈は全ての群において認められたが、各郡における虚血時不整脈および再灌流時不整脈の発生時間に有意な差は認めらなかった。R/L(area at risk/left ventricle)は、control群および各S群に有意差は認められず、各郡の虚血域は同一条件であったことが証明された。VR(infarct size/area at risk)は、control群64.6±1.7、S1群68.0±3.9、S2群57.6±4.8、S3群51.5±8.7、S4群55.7±4.5、S5群55.g±10.8、S6群58.1±4.8となり、各郡において有意差は認められなかった。今回の実験において採血した血液中より8-OHdG'を測定したが検出が困難であった。今回の実験条件において、各郡における循環動態に有意差が認められなかったことから、各郡における不整脈の発生時間、1/R、R/Lに対しRPPは影響を与えないことが示唆された。また、1/Rにおいて各郡に有意差が認められなかったことから心筋保護効果は無いことが示唆され、今回の実験条件においてAPC(anesthetic preconditioning)は得られず、また、不整脈にも影響を及ぼさないことが示唆された。以上により、今回の実験条件よる結果は、今後の研究に対し意義の有る結果が得られたと思われる。
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