研究概要 |
歯科治療時の局所麻酔時に遭遇する合併症(過換気症候群や脳貧血症状など)の減少や回避に繋がる局所麻酔薬と鎮静薬を同時に口腔内へ注射する試みは, 倉沢洋一ら(2000年)により始めて報告されているが現在まで, この方法に関する詳細なエビデンスがない。そこで, 本年度は鎮静薬(ミダゾラムが主体)を口腔内へ局所注射した際のバイタルサインを記録・分析した。その結果, 鎮静薬の血中濃度・BISモニターによる脳波動態等を詳細に記録・分析できたことは, 本研究の第一番目の大きな成果であり, 未然の事故や合併症の防止ならびに, より安全な歯科治療の実現への始まりであると考えられる。ここまでの成果は, 第56回日本麻酔科学会学術集会(2009年5月 : 神戸)の演題で発表が決定している。 本研究の第二番目の重要な課題である, genome DNAの遺伝子配列による鎮静効果の差異に関しては, 現在, 採血した全血を遠心分離して得られた白血球のgenome DNAを抽出し, 精製したDNAをRestriction Fragment Length Polymorphism Polymerase Chain Reaction法を使用してGABAα6受容体ならびにCytochrome P450 3A subfamily遺伝子の変異を解析中である。 本研究の第一番目と第二番目の結果を詳細に解析することにより, 個々の患者に合った適切な薬剤種類の選択や投与量の調節を行うことが出来き, 「次世代の医療」いわゆる「テーラーメイド医療」実現の第一歩となりうる。
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