研究概要 |
口唇口蓋裂は先天異常の中でも最も高い発現頻度でみられる外表奇形であり、その発現頻度は0.015%である。また発生頻度において、地域または人種により発現頻度が異なることは古くから知られている。日本人と遺伝的に類似点の多いモンゴル人の口唇口蓋裂ならびにそれに関連する先天異常ついて病因を解析することである。 初年度においては、米国アイオワ大学およびピッツバーグ大学で得られた口唇口蓋裂患者サンプルの連鎖解析の結果から、TGFb遺伝子スーパーファミリーのひとつであるBHP4遺伝子の解析を行った。解析方法はPCR-Direct Sequenceにて一塩基多型(SNP)を含む遺伝子変異を検出、確認した。また国際RapMapプロジェクトよりBMP4遺伝子を含む領域についてSNPマーカーを設定し、TDT解析を行った。解析に使用したサンプルはモンゴル人、グアテマラ人、ヨーロッパ系白色アメリカ人、ヨーロッパ系白人、コロンビア人、フィリピン人の口唇口蓋裂患者及び関連疾患(微小型口唇裂 ; Hicroform cleft)その家族とコントロールサンプルである。合計1614人の遺伝子を確認し、疾患群においてのみ7種類8個の新規のBMP4遺伝子変異を発見(S91C, T102A, R162Q, G168A, R198X, R287H, A346V)した。これらの結果についてFisher exact検定を行い、有意差p=0.006をもって有意であった。このことからBMP4遺伝子が原因遺伝子の一つであることが強く示唆された。
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