研究概要 |
口唇口蓋裂は遺伝因子と環境因子がお互いに作用し合って起こる、複雑で最も頻繁にみられる先天異常である。最近の全ゲノム遺伝子解析が米国アイオワ大学Jeffrey C.Murray教授および米国ジョンホプキンス大学Terri Beatyにより報告され、アメリカ人、フィリピン人等においてMAFB、VAX1、PAX7等の幾つかの遺伝子座が新たに口唇口蓋裂の候補遺伝子領域として発見された。この度、この結果が関連しているかどうかを確認する為に独立した症例を使用した。モンゴル人サンプルを使用したCase-Control Studyにおいて有意差が確認できたため、二次解析としてモンゴル人204家系、日本人98家系を使用した。遺伝子解析においては、MAFB、VAX1、PAX7遺伝子の近傍もしくは内部に存在する一塩基変異(SNP)についてタックマンアッセイを用いて行った。連鎖不平衡解析および多型解析にはTDT解析であるFBATとPLINKを使用した。モンゴル人家系において、いくつかの有意差がみられた(VAX1, rs7078160,p=5.32E-05, and MAFB, rs13041247, p=0.00108)日本人家系においても有意差が認められた(VAX1, rs7078160, p=0.00511)これらの事により、MAFB、VAX1遺伝子多型の直接的もしくは間接的な関与が口唇口蓋裂発生に深く関与していることが示唆された。
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