1. TWIST1は「上皮-間葉移行」で重要な役割を果たすとともに、間葉系細胞の分化を抑制し、TWIST1の発現が間葉系細胞の特性の維持に関与する可能性が示唆されている。しかし、TWIST1遺伝子の発現調節機構は分かっていない。私はこれまでにTWIST1プロモーターの高度に保存されたCCT反復配列がTWIST1の発現に必須であり、この配列は転写因子Sp1/Sp3とin vitroで結合することを報告した。本研究では、抗Sp1抗体と抗Sp3抗体を用いたクロマチン免疫沈降法により、正常生理条件下の間葉系細胞においてゲノムのTWIST1プロモーターにSp1とSp3が結合していることを証明した。この結果はin vitroの研究から得られた知見に生理的意義を付け加えるものである。また、Sp1/Sp3の阻害剤を適用したところ、Sp1のTWIST1プロモーターへの結合は抑制されたが、Sp3の結合は抑制されなかった。 2. Sp1/Sp3阻害剤は間葉系細胞におけるTWIST1プロモーター活性を上昇させることがレポーターアッセイにより明らかとなった。またSp1/Sp3阻害剤によるTWIST1プロモーター活性の上昇は上皮細胞などで認められなかった。これらのことは、TWIST1の発現は細胞種によって異なる制御が働いている可能性を示唆しているかもしれない。また、Sp転写因子グループの会合相手や量の違いがそれらの制御に関与しているかもしれない。 3. sp1およびsp3に対するsiRNAを間葉細胞に遺伝子導入し、RT-PCR法によりTWIST1の発現の変化を観察したが、明らかな発現の減少は認められなかった。今後、siRNAを用いたレポーターアッセイなど他の実験系で詳細を解明する予定である。
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