研究概要 |
本研究では微小圧子圧入破壊(Indentation Microfracture, 以下IM)法を応用し, 破壊靭性値K_<IC>を指標として超微小領域エナメル質のおよび力学的挙動について検索した。さらに共焦点レーザー顕微鏡による破壊様式の評価と形態的観察, Peripheral quantitative computed tomography(pQCT)による単位体積当たりの体積密度の定量解析を併用し, 力学的特性と微細組織レベルでの密度分布との関係のマッピング作成を試み, バイオメカニクス, 組織学および密度構造様式の各観点から統合的に検討し, 相関性を明らかにすることを目的としている. 本年度は, 研究計画に示す(1)試料準備および加工, (2) 破壊靭性値を指標とした力学的挙動の検索, (3) 共焦点レーザー顕微鏡による破壊様式の評価, まで順調にすすめているところである.(1)では, 研究協力者からの技術支援のもと早期の手技安定を目指し, 迅速な実験遂行に努めているところである.(2)では, 従来から用いられている2軸微動台に圧子角度設定機能を付与し, より正確な計測位置・角度が簡便に設定できるよう改良し, 詳細なデータを速やかに得られるよう配慮した.(3)の破壊様式の評価では, 一般的にはPalmqvist crack(pc), Median crack(mc), Lateral crack(lc)に分類されるクラックだが, pcとmcは試料表面のクラックが同一に観察されるため識別不可能となる.このため本研究ではP∝lの場合はpc, P∝c^<3/2>の場合はmcとして評価を行っている.これにより, 強化されている主軸および方向依存性を組織学的観点から調査することが可能となりつつある.
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