研究概要 |
本研究では微小圧子圧入破壊(Indentation Microfracture)法を応用し,破壊靭性値K_<IC>を指標として超微小領域エナメル質のおよび力学的挙動について検索した.さらに共焦点レーザー顕微鏡による破壊様式の評価と形態的観察,Peripheral quantitative computed tomography (pQCT)による定量解析を併用し,力学的特性と微細組織レベルでの密度分布との関係のマッピング作成を試み,相関性を明らかにすることを目的とした. 本研究の結果,破壊靭性値K_<IC>は組織構造に大きく依存し,歯冠方向に40~70%のindentation areaでは,70~100%の領域に比較して有意に大きな値となった.また,歯冠方向に0~40%のindentation areaにおいて明確なクラックを確認した例は少数であった.なお,ビッカース硬さH_vは押込荷重に影響されずほぼ一定であった.pQCTによる解析でも,力学的所見を裏付ける結果となった. 破壊様式の評価では,Palmqvist crack (pc)とMedian crack (mc)は試料表面のクラックが同一に観察されるため識別不可能となる.このため本研究では均質材料に対する方法を用い,Poclの場合はpc, PQCc^<3/2>の場合はmcとして評価を行い,破壊靭性値を算出した.しかし,エナメル質のような不均質構造体に対しても適応可能であるかを今後さらに詳細に検索する必要があると思われた.
|