研究概要 |
研究の目的 細胞への機械的な刺激は細胞内へ伝達, 翻訳され, 遺伝子発現を調節して細胞応答となる。細胞内での機械的刺激伝達にはアクチン結合タンパクによる細胞骨格の再構成が関与している。本研究の第一の目標は, 機械的刺激負荷時のアクチン結合タンパクの機能的意義の解明をすることである。そのためにアクチン結合タンパクの発現阻害を行う。第二の目標はアクチン及びアクチン結合タンパク質とCTGFとの機能的関係を解明することである。 実験方法 1. 骨芽細胞の単離, 培養-胎生16日胚のマウス頭蓋骨を取り出し, それらの細胞を10%ウシ胎児血清含有a-MEM培地を用いて培養する。 2. 流体剪断応力の負荷-スライドグラス上の培養細胞に, 専用の流体せん断応力負荷装置にて流体せん断応力を負荷する 3. 各種阻害剤を用いたシグナル解析-細胞内シグナル伝達経路の解析のために各種阻害剤で勝利した細胞に流体せん断応力を負荷する. 4. リアルタイムPCRによる発現解析-回収したサンプルを逆転写反応にかけ、Lightcycler(Roche)を用いたリアルタイムPCRにてCTGFの発現変化を解析する。 結果 流体せん断応力負荷装置を用いて, 骨芽細胞に流体せん断応力を負荷したところ, CTGFの発現は有意に増大した. またその経路はMAPKのうち, ERK, p38を介してしていることが示唆された. 以上から骨芽細胞における流体剪断応力負荷時におけるCTGFの発現経路においてMAPKが重要な役割を果たしていることが予想された.
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