カテプシンEは活性型破骨細胞の波状縁に多く発現が見られるアスパラギン酸プロテアーゼの1つだが、カテプシンEが破骨細胞においてどのような役割を果たしているかは未だ研究がなされていない。本研究ではカテプシンEの破骨細胞における役割を明らかにし、さらに矯正力により歯が移動する際の圧迫側での骨吸収においてもカテプシンEがどのような役割を果たしているかを明らかにする予定である。まず、in vitroにおいてTNF-αで誘導される破骨細胞形成にカテプシンEが与える影響を検討した。野生型およびカテプシンE欠損マウスマウスから採取した骨髄細胞を96-wellプレートに播種し、M-CSFおよびTNF-α存在下で4日間培養した。また、同マウスから採取した骨髄細胞をM-CSF存在下で培養して得られたM-CSF依存性マクロファージ(破骨細胞前駆細胞)を同様に培養した。いずれも4%パラホルムアルデヒドにて固定後、TRAP染色を行い、破骨細胞(TRAP陽性多核細胞)の数、大きさ、形態への影響を調べた。結果は全骨髄細胞、破骨細胞前駆細胞いずれの系においても野生型とカテプシンE欠損マウスでTRAP陽性細胞の形成で明らかな差を認めなかった。播種する細胞数を変更するなどの条件を変更して実験を行ったが、現在までに有意な差を認めるには至っていない。今後はdentin slice上での骨吸収能や矯正力による歯の移動量、移動速度など、機能面での検討についても行っていく予定である。
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