研究概要 |
本研究の目的は, 動物の咬合関係を維持したまま, 咬合高径を低下させたモデル動物を作成し, 咬合高径の経日的変化を明らかにすることである. 平成20年度の計画は, 咬合高径の経日的変化を明らかにするための第一段階として咬合高径低下モデル動物の作成であった. 実験には, 咬合高径の神経メカニズムについての知見が得られているモルモットを用いた. 矯正歯科臨床で用いられている顎間ゴムを応用して咬合高径の低下を行った. 矯正用ワイヤーを屈曲したものを頬骨弓, 下顎骨に装着した. その頬骨弓と下顎の矯正用ワイヤーに顎間ゴムをかけ咬合高径低下モデル動物を作成した. また, 下顎骨の回転などを最小限に抑えるため顎間ゴムは上下歯の萌出方向と平行になるよう調節を行った. 顎間ゴム使用前から顎間ゴム撤去時までの咬合高径の計測には, 当大学に既設の小動物用3次元エックス線マイクロCT撮影装置を用いた. 咬合高径の計測には, 水平断, 前頭, 断, 矢状断の3方向の断層像を用いて, 左右のオトガイ孔を正中矢状断像に投影した点と切歯孔を結んだ線を咬合高径として計測した. 顎間ゴム装着2週間後には, 顎間ゴム装着前に比べ咬合高径は約1mmの減少が認められた. このことにより, 顎間ゴムによる咬合高径低下モデル動物の作成が可能となった. 平成21年度以降は, 撤去後の咬合高径の経目的変化や咀嚼運動の変化, 咬合高径低下モデル動物とコントロール動物の比較についても検討・検討していく予定である.
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