研究概要 |
本研究の研究目的は,動物の咬合関係を維持したまま,咬合高径を低下させたモデル動物を作成し,矯正歯科治療で用いられる顎間ゴムを応用し,顎間ゴム装着前後と顎間ゴム撤去後の咬合高径と咀嚼運動の経日的変化を明らかにすることである.平成22年度の研究実施計画は,咬合高径低下モデル動物の顎間ゴム装着前後と撤去後の咬合高径の経日的変化と咬合高径の経日変化に伴う咀嚼運動を明らかにすることであった. 実験には,咬合高径の神経メカニズムについての知見が得られているモルモットを用いた.頬骨弓と下顎骨にそれぞれフックを埋入し,矯正歯科臨床で用いられている顎間ゴムを応用して咬合高径の低下を行った. 実験群と対照群の経日的変化の検討には,当大学に既設の小動物用3次元エックス線マイクロCT撮影装置を用い,咬合高径と成長量の評価として頭蓋前後径の計測を行った. 顎間ゴム装着2週間後には,頭蓋前後径では実験群で約0.8mm,対照群で約1.0mm増加したが両群に有意な差は認められなかった.顎間ゴムの装着は頭蓋の成長に影響を与えないということが明らかとなった,しかし,咬合高径は対照群で約1mm増加し,実験群では約0.6mmの減少した.顎間ゴム装着によって両群に有意な差を認めた.また,顎間ゴム撤去1日後には実験群で咬合高径は急激に増加した.しかし,実験群の咬合高径は対照群と同様の増加率となったが対照群の咬合高径と同様になることはなかった. 顎間ゴム装着によって咬合高径低下は低下し,顎間ゴム撤去後には咬合高径が急増するが対照群と同等の咬合高径にはならないということがわかった.顎間ゴム装着前後と撤去後の咬合高径の経日的変化による咀嚼運動は,本研究中に行うことができなかった.
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