研究概要 |
平成20年度は、ラット口蓋骨欠損モデルの作製および移植した骨の定量的評価法を確立することを目的に研究を実施した。 ラット口蓋骨欠損モデルの作成は、第一臼歯部の口蓋部粘膜を剥離し、直径1mmの半球状にラウンドバーにて口蓋骨を削除する手技を実施し確立した。 骨移植方法については、ラット大腿骨からの骨採取は困難であった為、ラウンドバーで削除した骨を採取してフィブリン糊と混合し骨欠損部へ填入する方法をとることで対応できた。 移植した骨の定量的評価法の確立は、病理組織学的検索として、ラットを1.コントロール群(フィブリン糊+移植骨のみ)、2. コントロール+BMP2投与群、3.コントロール+BMP7投与群、4. Sham群(コントロール+BMPの溶媒であるHClを投与したもの)の4群に分けて行った。2Wで屠殺した試料の病理組織学的検索は、通法に従いパラフィン包埋後Hematoxylin-Eosin染色を行い、光学顕微鏡にて観察した。結果は、1. では炎症細胞浸潤と若干の腐骨様の像を認めたが2. では炎症細胞浸潤が軽度で骨吸収も少ないような像を得た。3. は炎症細胞浸潤が強く出現した。4. は最も治癒が遅れており炎症所見が多く腐骨も見られた。このことから、BMP2が骨増生に良好な結果を示すと考えられた。 術後8wに頭蓋部のX線画像を撮影し移植骨の高さを計測する計画であったが8Wでは時間が経過しすぎており骨境界が不明であった。今後は、骨移植術後1W、2Wの早い週で評価を行い定量的評価法を確立する予定である。 電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)をもちいて、Ca,Pの分布を観察し生着状態を評価する方法については今後実施する予定である。
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