研究概要 |
歯周炎局所におけるTh17細胞の役割を解析する目的で、歯周病原細菌刺激による単球及び単核球からのIL-23産生を測定し、以下の知見を得た。 歯周炎患者の末梢血より単球を分離し、A.actinomycetemcomitance(A.a.)LPS, P.gingivalis(P.g.)LPS, E coli LPS、 CpG ODNにて刺激したところ、A.a.LPS, P.g.LPS, E coli.LPSにおいて濃度時間依存的にIL-23産生を認めた。この中で、A.a.LPS刺激により、もっとも高いIL-23産生が認められた。次に歯周炎患者の末梢血より単核球分画を分離し、A.a.の超音波破砕抗原にて刺激したところ、濃度時間依存的にIL-23産生が認められた。さらに、健常者の末梢血より分離採取した単核球に対してA.a.超音波破砕抗原にて刺激を行ったところ、濃度時間依存的にIL-23産生が認められたが、その産生量は歯周炎患者よりも統計的に有意ではないが、少ない値を示した。これらのことから、歯周炎患者の局所において、単核球は歯周病原細菌に対して反応し、IL-23を産生し、局所でのTh17細胞の制御に関わっている可能性が示唆された。また、その刺激因子として、A.a.が大きく関与しており、Th17細胞が破骨細胞の活性化に関与していることから、A.a.細菌による組織破壊への病因の一つとなる可能性が示唆された。
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