「具体的内容」 一昨年、昨年採取した歯肉増殖症および歯周炎の歯肉サンプルを用いた。metalloproteinase(MMP)-1およびTissue inhibitor of metalloproteinases(TIMP)-1、TIMP-2遺伝子発現は採取歯肉よりmRNAを抽出し、RT-PCRにより解析した。MMP-1、TIMP-1、TIMP-2タンパク質局在は、パラフィン切片作製後免疫染色により解析し、発現組織、発現細胞を同定中である。 「意義」 歯肉増殖症歯肉において、TIMPsの遺伝子発現およびタンパク質局在を示した報告はTIMP-1を除いてまだない。したがって本研究がもたらす結果は、歯肉増殖症分野において、初めての報告となる。特に、昨年報告したTIMP-3、TIMP-4のデータと合わせることによって、歯肉増殖症および歯周炎の歯肉においてTIMPsファミリーをすべて解析することになる。またMMP-1の遺伝子発現、タンパク質局在を調査することで、MMPsとTIMPsのバランスが両疾患においてどのようであるかがわかる。 「重要性」 歯周病は結合組織性付着の破壊を伴う疾患である。metalloproteinases(MMPs)は結合組織を破壊し、TIMPsはMMPsを抑制する。今年度はMMP-1およびTIMP-1、TIMP-2の遺伝子発現、タンパク質局在を観察し、MMPsとTIMPsのバランスについて解析してきた。本研究では破壊性疾患の歯周炎と増殖性疾患の歯肉増殖症歯肉において、MMPsとTIMPsの遺伝子発現とタンパク質局在を観察することにより、歯周炎および歯肉増殖症の病態解明に繋がることが期待される。
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