H20年度は、歯周病態と歯肉溝滲出液中のカンナビノイド濃度および総量について検討した。被験者は、男性11名・女性11名で平均年齢は58.39±12.9歳であった。歯肉溝滲出液採取時期は、初診時8名(男性4名・女性4名)メインテナンス時14名(男性7名・女性7名)だった。総被験部位は38箇所。歯周病態は、ポケット深さ≦3mm 15箇所ポケット深さ>4mm 23箇所プロービング時の出血(+)28箇所(-)10箇所。ポケット深さの平均は5.02±2.15mmであった。以上のサンプルからの結果を以下にまとめる。 (1) アナンダマイドは、初診時においてはポケット深さが大きくなると総量の増加を認める傾向が示された。メインテナンス時ではポケット深さとの相関は認められなかった。 (2) 2-AGでは初診時・メインテナンス時ともにポケット深さとの相関は認められなかった。 (3) アナンダマイドは、メインテナンス時においてプロービング時の出血(+)部位では(-)部位に比べて有意に濃度が高いことが示された。2-AGではプロービング時の出血の有無による違いは認められなかった。 以上より、アナンダマイドは歯周病態の悪化とともにポケット内の総量が増加すること、歯肉の出血に関与していることが示された。また2-AGは歯周病態との関連が低いことが示唆された。 今後は、動脈硬化性疾患を併発している患者における歯周組織中のカンナビノイドの動態を検討していく予定である。
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