H21年度は、歯周病態と血清中の脂質・炎症性サイトカインの関連性について検討した。結果を以下にまとめる。 (1) 血清中MCP-1値は、重度歯周疾患罹患群で、健常者群と比較し有意に低い値を示した。軽度歯周疾患罹患群では、健者群との有意な差は認められなかった。 (2) 血清中総コレステロールは、重度歯周疾患罹患群で、健常者群と比較し有意に高いを示した。軽度歯周疾患罹患群では、健常者群との有意な差は認められなかった。 (3) 血清中トリグリセライドは、軽度歯周疾患罹患群・重度歯周疾患罹患群の両群と健堂者群間に有意な差は認められなかったが、軽度歯周疾患罹患群・重度歯周疾患罹患群の両群は、健常著と比較し高い値を示す傾向が示された。 (1) については、これまでの歯周疾患患者の血清中の炎症性サイトカインは健常者群と比較し高いとする多くの結果に相反する結果となった。詳しい原因は現在不明であるが、原因のひとっとしては、今回の重度歯周疾患罹患群では、罹患期間が長くLPS Toleranceを呈している可能性が考えられる。 (2) については、これまでの他の研究と一致する結果となった。コレステロールの上昇に歯周組織で歯周病原菌の刺激より産生さた局所カンナビノイドの全身循環への移行の関与が考えられる。 (3) については今後サンプル数を増やし検討を続ける予定である。 今後は、動脈硬化性疾患を併発している患者における歯周疾患の程度と歯周組織中のカンナビノイドの動態および血清中の脂質・炎症性サイトカインの関連性を検討していく予定である。
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