本研究では、肥満の誘発性因子や炎症メディエーターである内因性カンナビノイド(アナンダマイド(AEA)、2-AG)を、動脈硬化性疾患と歯周病の関連性を評価する指標として着眼した。歯肉溝内のAEA、2-AGと、血中総コレステロール、トリグリセライド、AEA、2-AGと歯周病態との関連を検討した。いずれの項目においても歯周病態との有意な関連性は認められなかったが、歯周病態の悪化によりこれらの増加傾向を認めた。特に心疾患罹患患者では、その傾向が強かった。以上より歯周病において、歯周組織局所(歯肉溝)で内因性カンナビノイドが産生され、血流を介して全身の脂質代謝に影響を及ぼしていることが考えられる。
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