研究概要 |
歯周病は細菌感染による慢性炎症疾患であるが、病態の解明は部分的で病原因子に対する生体側の反応は明確でない。そこで, 歯周病の治療を進歩させるために生体側の病態の解明が必須である。そこで, 実験的歯周炎モデルの確立は, 歯周炎の発症機構の解明に有効である。 本研究の目的は, (1) 歯周炎モデルマウスを確立すること, (2) 骨吸収関連の遺伝子改変マウスを用いて歯周炎モデルを作製し, 歯周炎に対する骨吸収関連遺伝子の役割を生体レベルで解析することである。(3) 歯周炎モデルに歯周治療薬を投与して, 薬の効果を評価することである。以上の解析は, 病態の解明及び治療法を飛躍的に進歩させると考えられる。 平成20年度は, マウス歯周炎モデルを確立する実験を行った。ラット歯周炎モデルで使用されている歯周病関連細菌であるP. g. 菌の口腔への接種により, マウスでの歯周炎の惹起を評価する。評価項目は, ヒトと同様にセメントエナメル境から歯槽骨頂までの距離を歯槽骨吸収量として測定した。その結果, P. g. 菌の接種により歯槽骨吸収が亢進する結果が得られた。現在, 破骨細胞の分化因子であるRANKL強発現マウスにP. g. 菌を接種して, 歯槽骨吸収に及ぼす影響を検討している。これらの結果, 歯周病モデルの応用により, 骨吸収関連遺伝子と歯槽骨吸収の関連性が明らかになることが期待される。
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