研究概要 |
歯周病におけるTh17細胞およびIL-17の役割について調べるため、本研究では、1)侵襲性歯周炎患者と健常者の歯肉溝浸出液からのIL-17の濃度に差があるか?2)侵襲性歯周炎患者と健常者において、Th17細胞の誘導に差があるか?の2点を目的とした。20年度はまず1)について調べるために、愛知学院大学歯学部附属病院歯周病科を受診し, 特記すべき全身疾患を有さず, 本研究の主旨に同意し, 倫理委員会にて承認を得た同意書に署名した侵襲性歯周炎患者とコントロール患者それぞれ10名よりGCFを採取し、IL-17濃度をILAISAにて測定した。残念ながらすべてのサンプルにおいて検出限界以下であった。そのため、実際に歯周病の歯肉においてIL-17が存在するかを調べるため、同意を得た後、歯周外科時に歯肉サンプルを採取しリアルタイムPCRにて、IL-17の発現を調べた。非炎症性の組織として、便宜抜歯時の歯肉をコントロールとした。結果コントロールに比べ、4-18倍のIL-17の発現を認めた。以上より、GCFによる解析ではIL-17を検出することが困難なため、次年度はTh17の誘導能について解析を行う予定である。具体的には侵襲性歯周炎患者5名程度と同数のコントロールから血液を採取し、リンパ球および単球を分離する。プラスチィックプレート付着細胞を単球とし、LPSもしくは歯周病原細菌(A. a)菌体成分の刺激で培養したのち、IL-12およびIL-23のm-RNAの変化をリアルタイムPCR法にて解析する予定である。
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