研究概要 |
全身の抗酸化力と歯周状態については, これまで疫学的に多くの研究が行われている。しかし, 酸化ストレスと歯周状態についてはほとんど行われていない。今回, reactive oxygen metabolities(ROM)を用いてメインテナンス期の患者を対象に酸化ストレスの変化について横断研究を行った。 岡山大学病院・予防歯科に来院している歯周病メインテナンス期の患者で, 残存歯数が15本以上, 全身的に健康で急発症状を起こしていない, 3ヶ月に一度(平均9.5年間)来院している81名(平均57.4歳)を対象とした。歯周検査と血漿中のROMおよびbiologic antioxidant potential (BAP)の測定を行った。 ROMとBAPの平均は, それぞれ381 Carratelli unitsと2,389μmol/lであり, 男女間で統計学的な有意差は無かった。さらに, ROMはアタッチメント・レベルと相関があった(r=0.281, P=0.011)が, プロービング・デプスとは相関がなかった(r=0.196, P=0.080)。年齢, 性別, 残存歯数を調整しての多変量解析の結果, ROMが400 Carratelli units以上の患者は, アタッチメント・レベルが有意に高かった。しかしながら, BAPにおいては歯周病のどの指標とも相関が認められなかった 結論として, 歯周病メインテナンス期患者において, 酸化ストレスとアタッチメント・レベルとの間に明確な相関があった。全身の酸化ストレスの増加は, 歯周病の進行に影響を及ぼすかもしれない。
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