現在日本は高齢社会となり、今後益々高齢化が進むと予測されている。 高齢者の口腔内が不潔になると誤嚥性肺炎の原因となり、高齢者の死因の上位である肺炎の原因となることが知られている。 介護老人施設入居者を対象に、歯科衛生士による口腔ケアを実践した結果、口腔衛生状態の改善、カンジタ菌の減少、口臭の減少、要介護者の発熱回数の減少があった等、口腔ケアの成果が報告されている。このように口腔ケアは要介護高齢者のQOLを維持するために重要である。これまで、歯科医師や歯科衛生士が専門的に行う口腔ケアに関する研究や報告は多くあるが、日常的に介護老人施設で介護職員が行う口腔ケアに関する調査・研究はほとんど行われておらず、口腔ケアの現状は明らかでない。 以上のような観点から、特別養護老人ホームで介護職員が行っている口腔ケアの研究が必要であると考えた。 本研究では特別養護老人ホームで介護職員が利用者に対して行っている口腔ケアの現状を把握すると共に、口腔ケアを困難にしている要因を明らかにし、今後の口腔ケアのあり方を検討することを目的として、神奈川県と東京都にある計5特別養護老人ホームの施設長と介護職員に対し、口腔ケアに関する質問紙調査を行う。 そのうち、本年度は、プレテストの結果を解析し、質問調査表を作成した。また、特別養護老人ホームに口腔衛生の実態も明らかにするために、1施設で入所高齢者の生活状況調査と口腔内調査を行い分析した。 プレテストで得た介護職員の行う口腔ケアの実態調査および困難感の結果と、入所高齢者の口腔衛生状況を解析した結果を考慮して、介護職員が行う口腔ケアの実態調査の質問項目を調整した。 次年度は、本年度作成した質問紙調査を行う予定である。
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