H21年度において、高齢者における咬合力訓練装置の開発を行い、さらに当病院に通院する患者に対し、この装置を用いた間接的訓練を行い、その効果について検討した。 1.咬合力訓練装置の開発:前年度行ったアンケート調査による訓練装置の再検討により、訓練装置の形態を顎間距離に合わせ、チューイング部の厚さを有歯顎用は、15mmと10mmとし、無歯顎用は、30mmと25mmに設定した。 2.訓練プロトコールの設定:有歯顎者においては、訓練装置を臼歯列にあわせて、患者自身で保持しての10秒間の持続的に咬合させる訓練プロトコール、30回咬み合わせる訓練プロトコールおよび舌先を使って訓練装置をリズミカルに30回左右に運動させる訓練プロトコールを作成した。また、局部床義歯の場合においては、義歯をはずして歯牙と粘膜間で咬合させ、上下無歯顎者においては、義歯を外して粘膜間での咬合をさせるように設定した。 3.訓練装置の効果の検討:開発した咬合力訓練装置を用いて当院に通院している65歳以上で歯科口腔外科的に問題のない6名に対して、作成した訓練プロトコールに沿った訓練を一ヶ月間行い、訓練後の最大咬合力をプレスケールにより記録し、その効果を検討した。訓練後の最大咬合力は6名中5名が増加しており、開発した咬合力訓練装置を用いた間接的訓練は、咬合力の向上に有効であるとうかがわれた。今後は、介入研究を行い、本訓練装置の更なる効果について検証中である。
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