プライベートセクターであるテレビコマーシャル(TVCM)のうち日本の主要歯科衛生用品メーカー3社が1989年から2002年に放映したTVCM計82本を対象として健康情報の内容を分析した。商品別に分類したところ、歯磨剤(80.5%)が最も多く、次いで歯ブラシ(37.8%)であった。対象疾患は、歯周病(59.8%)と最も多く、次いで齲蝕(24.4%)であった。疾患への対策としては、齲蝕ではプラークコントロール(45.0%)が多く、フッ化物による歯質強化(15.0%)であった。歯周病については殺菌(55.1%)、プラークコントロール(12.2%)が多く取り上げられていた。本研究では、専門家が齲蝕予防で最重要視するフッ化物応用の情報提供が極端に少ないことが判明した。ブリックセクターを代表するメーカーなどの企業は、テレビを通じて提供する健康情報が及ぼす影響の大きさを認識し、望ましい情報提供のあり方を考慮する必要がある。
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