平成20年度を通じて、「九州・沖縄母子保健研究」の4ヶ月時調査を実施した。4ヶ月時調査では、本研究用に開発した質問調査票を用い、母子における生活環境、生活習慣に関する情報を得た。遺伝情報を得るため、研究対象者本人に専用の綿棒で口腔粘膜細胞を採取頂きこれよりDNAを抽出した。さらに唾液の採取も行い、タバコ煙曝露の客観的指標である唾液コチニン量を測定した。対象者の口腔内状況を把握するため、調査スタッフ(歯科衛生士)が個別に訪問して口腔内を観察し、齲蝕の有無、歯周ポケットの測定、ポケット測定後の歯肉出血の有無及び歯石の有無(縁上及び縁下)のチェックを行った。多数の調査スタッフにより口腔内観察が実施されるため、事前に調査マニュアルを配布し、調査スタッフ間の手技の統一を徹底した。ベースライン調査に参加した1758名のうち、1180名が歯科疾患調査に参加した。歯科疾患調査のデータのチェックを終了した。質問調査票は研究事務局スタッフにより記入漏れの確認をしているため、欠損データはほとんど無い。今後、今回の調査で得た母親の歯周病を結果因子とし、ベースライン調査及び4ヶ月時調査で得られた栄養摂取状況や喫煙、運動、ストレス、ライフイベントといった生活習慣・生活環境との関連について解析し、順次論文を執筆する。更に免疫応答や栄養(カルシウム)に関与している遺伝子多型の解析を行い、環境要因と遺伝子多型との交互作用を検討する。これまで世界的にもほとんど報告のない、各種栄養素摂と歯周病との関連について新規に報告できる。また環境要因と遺伝要因との交互作用を検討することからオーダーメードで歯周病を予防する根拠の確立に貢献する。
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