様々な自然災害が発生した際に、精神障害者への生活の再構築を目指した支援体制の一試案の作成を目的として、自然災害における精神障害者の支援体制に関する実態を調査した。調査の対象としたのは、地域で暮らす精神障害者をサポートしている看護職である。その結果、災害時の支援やその対策については、施設ごとに委ねられており、統一された見解がないといったことや、支援することになる人たちが現在のところ危機意識を感じていないなどといったことがあげられた。支援者の認識や日頃の取り組みと、支援者や支援団体同士のネットワークが課題であると考えられた。さらに、実態調査をもとに、中・長期的な支援を見据えた、精神障害者サポート体制の一試案の作成と検討を行った。精神障害者ばかりでなく、地域で生活する住民を含めた精神保健活動との関連や、自治体と連携を持ち、長期的な生活支援対策の必要性などの課題が挙げられた。これらの一連の過程を通して、災害の種類によって、求められる支援は異なってくることと、被災後に残された機能(施設及び援助者)の状況によって、体制を一概に決定付けることはできないことが、明らかにされた。生活の再構築のためには、環境調整と精神障害者本人への働きかけを同時に行われなければならないという、援助内容についての再検討と、精神障害者と地域との関係性についての考慮が必要であると考えられた。
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