看護基礎教育における看護技術に関する自己学習教材として、学生が実習場面で苦手とすることの多い排泄の場面の学習教材を作成することとした。排泄の援助では、対象の個別性を考慮し、全ての対象が全介助ではなく、対象者の持っている能力を活かした援助内容にする必要がある。また、実習場面で排泄物がオムツ内にあった場合を学生は想定しておらず、排泄援助が学生自身の計画と異なった場合に援助内容を一部変更し実施することが難しい。そこで自己学習教材の場面として、高齢者の陰部洗浄とオムツ交換の実施とした。そして研究代表者が事例を設定し、援助場面を実施する手技を撮影し、編集したものをDVDに収めた。この学習教材(以下、本教材)を本学のWeb学習環境であるドットキャンパス上の研究者が担当する科目内に設置した。次に、本教材を視聴する前に知識の整理を行うための「事前ワーク」を、本教材を視聴後に総合的な習得度を判定するための「事後ワーク」を実施し、アンケートの自由記載を学生に依頼した。対象学生は実習を目前とした学生であり、本教材の利用は17.5%であった。本教材を実施できなかった学生の中にもWeb学習に興味を持つ学生も少なくなく、「学習効果の向上」や「学習の自由度が増す」という意見が多かった。その一方で、自分が自由に使えるパソコンがないことやパソコンは持っているがインターネットに繋がっていないこと等の学習環境が整っていないことも明らかとなった。さらに学生のアンケートには、他の実習の課題も多く、設定した期間内に実施するのは大変であった、自己反復する時間がないとの意見もあった。今後の課題として、Web学習に興味を持つ学生が実施したいと思う自己学習教材の内容であるか、また学習教材を提示する時期が学生にとって実施できる時期であるか等を検討する必要がある。
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