本研究は、日本とフィリピンの二国間における経済連携協定(EPA)の合意に基づき、将来、フィリピン人看護師が日本の医療現場に就労し、同僚として日本人看護師と共に働く可能性があることから、日本とフィリピン人看護師および看護学生の職業的アイデンティティを明らかにし国際比較する目的で実施した。平成22度は、継続調査を実施した。日比比較では、職業的アイデンティティの確立過程に差異があった。職業的アイデンティティの総計は、日本の看護学生は1年次、フィリピン人看護学生は2年次が最も高く、2国共4年次が最も低かった。また、学年、入学目的で有意差があった。アイデンティティスケール20項目のうち、日本人看護学生がフィリピン人看護学生より有意に高かった項目は2項目、フィリピン人看護学生が日本人看護学生より有意に高かった項目は15項目、2国間に有意差が無かった項目は3項目であった。また、職業的アイデンティティは、国別、学年の他、海外就労への関心度、実習達成感と関連があった。なお、研究結果は、日本国際保健医療学会、日本看護教育学会、日本看護研究学会、日本看護科学学会等の学術集会で発表済みである。今後、1)日本人とフィリピン人看護学生の職業的アイデンティティを縦断的に調査し、アイデンティティの発達、確立過程に違いがあるのかを明らかにする。2)日本とフィリピンの看護学生と看護師の確立過程を比較する3)日本とフィリピンの看護教育プログラムを比較する。また、調査済みの看護師の結果を発表予定である。 今後の研究継続は、日比間の職業的アイデンティティ確立の差異を検証するため看護教育方法、教育プログラムについて考察する必要性から重要であると考える。
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