【平成20年度に実施した研究内容と成果】 本研究は、看護学生の看護技術・実践能力を高めるために成人看護学実習の実習前教育として学生の看護技術習得教育プログラムの開発を行なうことを骨的としている。 実施内容の第1段階として、看護学生の技術習得過程で重要となる技術を先行文献の検討をして看護技術項骨45項目を抽出した。第2段階として、文献検討の結果抽出した看護技術45項目について、臨床現場での必要性を明らかにするため、入職1年目の新卒看護師の技術取得状況の実態を調査した。また看護技術習得に影響を与える要因としてバーンアウト傾向および自己志向的完全主義傾向についても調査した。一方指導者・看護師長に対して新卒看護師に期待する技術到達度を調査した。 調査の結果、看護技術45項目中新卒看護師が採用時までに習得していた技術は「ストレッチャー移送」「浣腸の実施」「血糖測定」が多かったが、採用時までに習得していた技術が一つもないと回答した者も半数以上いた。また卒後1年目では機会がなく実施したことがない技術が多く、未経験な技術を多く抱えたまま2年目を迎えていることがわかった。1年以内に一人でできない技術が多い者ほどバーンアウト傾向に陥っており、卒後1年間での技術教育の重要性が示された。指導者及び看護師長は、新卒看護師に採用時までに習得することを期待する技術はないと回答した者が多く、看護技術45項目のうち半数は1年以内での習得を期待していることが分かった。 【研究の意義・重要性】 新卒看護師の技術習得の実態と指導者や看護師長が臨床現場で実際に期待している看護技術項目が明らかになったことで、基礎教育においてどのような看護技術を重点的に指導していくべきかの基礎資料が得られたという点で本調査は大変意義が大きい。また新卒看護師、指導者、看護師長の3者の立場から看護技術習得に関する情報を得た点は独創的で重要性が高い。
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