【平成21年度に実施した研究内容と成果】 本研究は、看護学生の看護技術・実践能力を高めるために成人看護学実習の実習前教育として学生の看護技術習得教育プログラムの開発を行なうことを目的としている。 看護学生の技術習得過程で重要となる技術について先行文献を基に検討し、看護技術項目45項目を抽出した。これらの看護技術の習得度を明らかにするため新卒看護師の技術習得状況の実態を調査した。また臨床現場での必要性を明らかにするため、指導者・看護師長に対して新卒看護師に期待する技術到達度と求める能力を調査した。調査結果から成人看護学実習前教育として学内演習で強化すべき技術項目についての示唆を得ることができ、成人看護学領域の研究者とともに実習前に実施する技術項目の検討のための資料となった。また、指導者・看護師長の新卒看護師に求める能力を知ることで、基礎教育から卒後教育への継続教育のあり方について考えることができた。次年度のシミュレーター教材を用いた実習前教育の実施ために設備整備と演習環境整備を行なった。 【研究の意義・重要性】 新卒看護師の技術習得の実態と指導者や看護師長が臨床現場で実際に期待している看護技術項目について、3者の立場から同時期に調査・分析した点はこれまでになく独創的である。今後基礎教育においてどのような看護技術を重点的に指導していくべきか、そして継続教育に関するあり方を考える基礎資料となったことは大変意義がある。また学内演習において反復学習が可能なシミュレーター教材の使用は、臨地実習場面での学生の技術提供の場面や範囲が限られる中、ますます需要が高まる分野であり教育方法を検討し工夫していくことは重要である。
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