1.平成22年度に実施した研究内容と成果 本研究は看護大学生の看護技術・実践力を高めるために成人看護学実習の実習前教育として学生の看護技術習得教育プログラムの開発を行うことを目的としている。 看護大学生の技術習得において重要となる看護技術を先行文献、臨床現場における実態調査をもとに成人看護学領域の研究者とともに検討した。そして、特に急性期看護学実習における周手術期患者の術後管理技術に関する看護技術を学内演習で強化すべき技術項目として設定した。 シミュレータ教材(モデル人形)を用い術後管理が必要なシナリオを作成し状況設定を行い、学生の術後管理技術の実践を評価した。シナリオでは学生が臨地実習場面で遭遇しやすい開腹術を受けた直後の患者を設定し、より臨場感が持てるよう輸液ルートなどの各種チューブ類や心電図、酸素マスクの装着を行い実施した。学生の看護技術評価は2~3名で行い評価の信頼性を確保した。術後管理技術演習を実習直前に実施し評価したのち、実習後に臨床現場で受け持ち患者に応用できたかについて調査を行っており、現在調査継続中である。 2.研究の意義・重要性 急性期看護学実習では学生は1人の受け持ち患者を通して周手術期看護を実践する。受け持ち患者での術後管理は繰り返し経験する機会がないため学生の緊張度は高く、これまでは十分な実践に至らないことが多かった。 術後管理は意識の確認、バイタルサインの測定、下肢の観察、創傷観察、患者への配慮等多くの重要な看護技術を含んでおり、異常の早期発見のために確実な技術を必要とする看護技術でもあるため実習前教育として位置づけ、学内演習で反復学習する意義は大きい。また、シミュレータ教材を使用することでいつでも学習が可能であり、学生自ら実習室で自己学習するなど学生の関心も高く、継続して学習に使用していくことが期待できる点でも重要な教育方法である。
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