研究概要 |
1.平成23年度に実施した研究内容と成果 本研究は基礎教育課程における看護実践能力向上のために、成人看護学実習の実習前看護技術習得教育プログラムの開発を行うことを目的としている。 成人看護学実習の特に急性期看護実習において周手術期患者の術後管理技術を実習前演習で強化すべき技術項目とした。技術項目は先行文献、臨床現場における実態調査をもとに成人看護学領域の研究者とともに検討し、術後管理に関わる30項目の技術を設定した。(1)意識レベルの確認3項目(2)循環状態の観察6項目(3)呼吸状態の観察7項目(4)消化器症状の観察2項目(5)疼痛の確認1項目(6)創部観察1項目(7)下肢観察4項目(8)静脈ライン1項目(9)カテーテル観察2項目(10)プライバシー・実施順序3項目である。シミュレータ教材(モデル人形)を用い学生が臨地実習場面で遭遇しやすい開腹術を受けた直後の状況設定をし、より臨場感が持てるよう輸液ルート等のチューブ類や心電図、酸素マスク装着を行い、術後観察を実施した。術後管理技術演習を実習直前に実施し評価した後、実習後に臨床現場で受け持ち患者に提供できたかについて調査を行った。その結果、術後管理技術30項目中26項目は,80%以上の学生が実習で受け持ち患者に実施できており,学生が臨床現場で多くの術後管理技術を患者に提供できたことがわかった。またほとんどの学生が実習前演習は、実習での術後観察に役立ったと評価しており実習前看護技術習得教育の有用性が示された。 2.研究の意義・重要性 周手術期看護は患者の急激な変化を観察し状況に応じた判断と行動が求められるが、学生は患者の急激な変化を予測することが難しく特殊な状況に緊張し行動できないことが多かった。シミュレータを用いて臨床現場に近い環境設定による実習前技術習得教育により学生の準備性を高めることができる。また反復学習により看護技術力向上が期待できる点で重要な教育方法である。
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