• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

根拠に基づく筋肉内注射技術の確立-薬液の皮下への漏れ防止法の検証-

研究課題

研究課題/領域番号 20791667
研究機関岩手県立大学

研究代表者

高橋 有里  岩手県立大学, 看護学部, 講師 (80305268)

キーワード筋肉内注射 / 皮下への漏れ防止 / 筋層への封入 / Z-track法 / エビデンス
研究概要

本研究は,筋肉内注射(以下,筋注)技術において,筋層に留まるべき薬液が皮下組織に漏れるのを防ぎ確実に筋層に封入する工夫として海外で紹介されているZ-track法に着目し,当該方法の実施意義の有無を検証することを目的とした.
まず,臨床の現状としてZ-track法を実践する看護師がいる施設で参加観察,聞き取り調査を行った.看護師はそれぞれ個人的な研修会参加,文献検討等の学習によりZ-rack法を実践している者,実施意義が不明として実施していない者,そもそも方法を知らない者と様々であったが,実施経験のある看護師でも効果については実感しておらず,看護師の意識・実態としてはZ-rack法の意義は不明であることが分かった.
臨床調査と並行して実験的検討を行った.Z-rack法の原理である皮膚表面の伸展による皮下組織層の移動が確実に生じるのか検証した.Z-rack法で皮膚表面を伸展させたときの皮膚表面の移動距離に対する皮下組織層の程度を明らかにし,原理のイメージどおりに皮下組織層を移動させるのはかなり困難であることを確認した(全国学会誌に論文掲載).さらに,Z-rack法の効果として薬液の皮下への漏れの有無をみるために,Z-rack法実施の有無による筋注時の薬液の筋層内封入状況を比較した.実験用動物へ実際に用いられている筋注製剤を投与したが,Z-rack法がとくに皮下への漏れ防止に有効であるとの所見は得られず,むしろZ-rack法を用いると組織傷害性が強い傾向があった(全国学会にて発表).また,注射時の強い筋緊張の様子からもZ-rack法は対象者の苦痛が強いことが示唆された(全国学会にて発表).
以上の結果は,根拠が乏しいまま紹介され,効果の自覚もないまま臨床で実践されているZ-rack法に対し再検討の必要性について喚起を捉す研究成果であると考える.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 筋肉内注射におけるZ-track法の検証-皮膚表面と皮下組織層の移動距離の差から-2009

    • 著者名/発表者名
      高橋有里
    • 雑誌名

      日本看護技術学会誌 8-2

      ページ: 4-11

    • 査読あり
  • [学会発表] 持効性注射剤の筋肉内注射技術としてのZ-track法の検討2009

    • 著者名/発表者名
      高橋有里
    • 学会等名
      日本看護技術学会第8回学術集会
    • 発表場所
      大雪クリスタルホール(北海道)
    • 年月日
      20090926-20090927
  • [学会発表] 筋肉内注射時の皮膚の固定方法の違いによる筋緊張と組織傷害2009

    • 著者名/発表者名
      高橋有里, 及川正広, 小山奈都子, 武田利明
    • 学会等名
      第35回日本看護研究学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      20090803-20090804

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi