本研究は、医療施設における看護退院サマリー(以下サマリー)による他施設への情報提供の実態及びサマリー記載時の意識調査、またサマリーを受け取る施設におけるサマリーの取扱いの実態及び意識調査から、看護・介護関連職員のサマリーによる患者情報の授受の実態を明らかにし、今後の情報提供のあり方の検討をすることを目的とした。結果、医療施設調査では、看護管理者52名、病棟看護師995名から質問紙の回答が得られた。個人情報取扱いに関する掲示を行っている病院は88.5%だった。サマリーに含まれていると考えられる項目18項目を提示し、サマリーに記載する情報の詳細さとプライバシーへの配慮の必要性について4段階で回答を求めたところ、記載する情報の詳細さとプライバシーへの配慮には、全ての項目間に弱い正の有意な相関が認められた。サマリー送付時に「サマリーを提示している」と回答したものは8.1%、「同意を得ている」と回答した者は17.6%だった。サマリーを受け取る施設での調査では、看護師99名、介護関連職員(介護福祉士、ケアマネージャー等)74名から質問紙の回答が得られた。病院から情報を提供される方法として97.9%の者が看護退院サマリーと回答し、71.5%のものが看護・介護において最も参考になる情報源であると回答した。サマリー情報の共有について、共有する相手及び内容について制限の必要がないと回答した者は76.4%であった。今後は、サマリーを受け取る施設での情報の取扱いの実態も考慮して、サマリーに記載する情報について検討する必要がある。
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