研究概要 |
ギャッチベッドは医療福祉など多くの現場で活用されている. しかし, ギャッチベッドの背上げ位を用いて座位をとると, 体幹がずり落ちて仙骨座りになることが言われている. このような状態では褥瘡の発生リスクが高くなることがいわれている. また, 仙骨座りのような姿勢では内臓や腰部への負担が大きくなることも指摘されている. 本研究では, ギャッチベッド背上げ位での低負担背上げ構造を明らかとすることを目的とし, 特に今回は背上げ時のベッド座面部の形状を検討することとした. すでに, 3次元動作分析装置を用いたわれわれの研究において, ベッドボトム(床板)は骨盤部底部を支持することが重要であることを明らかとしている. その結果に基づき, 骨盤底部を支持しやすい様, ベッドボトムを骨盤底部, 大腿部, 下腿部に区切り配置することとし, 骨盤底部のボトムと, 大腿部のボトム角度の最適な値を圧力分布計測により検討した. その結果, 骨盤部のボトムが30度, 大腿部のボトムが20度のとき, 支持性が高くかつ圧分散性が高く, 身体への負担も少なくなることが示唆された. また従来のベッドと比較においても, 本研究で製作したベッドボトムは従来のベッド構造よりも, 支持性が高く, かつ身体負担が少ないことが示された. 今回の研究結果では, 生理負担については検討していいない. ギャッチベッドユーザーは身体が虚弱であることが考えられ, ベッド背上げ位においても整理負担の少ない環境が望まれる。今後は体幹部のボトム形状に着目し, 生理負担の影響を検討し, 身体負担の少ないベッド構造を明らかにしていく.
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