研究概要 |
観察や危険予測、対処といったものは看護師の臨床判断能力のひとつであり、熟練した看護師と、看護学生や新人看護師とでは、視覚情報の取り込み能力に違いが見られる。本研究課題では環境観察時の視覚情報をアイカメラを用い注視部位や注視時間、注視回数等の眼球運動の傾向から確認し、観察時に考えていることを発話しその内容を分析し思考過程を明らかにし、認知メカニズムの解析を目的とした。平成20年度は看護学科学生12名(1年生3名, 2年生9名)を対象とし実験を行った。実験室で危険要因を含んだ病床環境を設定し、被験者にアイカメラを装着し、設定された病床環境を観察するように説明を行いアイカメラのデータをビデオカメラに記録を行った。実験後その映像を被験者に見せ観察中に何を見て、何を考えていたか発話してもらいICレコーダーに録音を行った。アイカメラ(アイマークレコーダーEMBR-8 B型標準セット)を用い得られた生データは全体的な傾向を確認し、解析ソフトウェアEMR-d Factoryを使用し、視線配置部位を空間的に分類し、部位カテゴリーを設定し、時系列による変化を読み取り、注視部位、注視時間を解析し、思考発話法・レトロスペクティブ法により得られた発話データは逐語録に起こしデータ化を行った。今後、現在得られた対象者の注視部位、時間の比較や発話内容の類似性に基づいて分類する内容分析を行うとともに、さらに対象者を増やし、研究成果の一部を看護系の学会で発表する予定である。
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