研究概要 |
本研究課題では観察や危険予測、対処といった看護師の臨床判断能力を病床環境観察時に焦点を当て、認知メカニズムの解析を明らかにすることを目的とした。環境観察時の視覚情報はアイカメラを用い注視部位や注視時間、注視回数等の眼球運動の傾向を計測し、観察時の思考過程は発話内容の分析を行った。平成21年度は看護学科学生27名(1年生7名,4年生20名)を対象とし実験を行った。実験室で危険要因を含んだ病床環境を設定し、被験者にアイカメラを装着し、設定された病床環境を観察するように説明を行いアイカメラのデータをビデオカメラに記録を行った。実験後その映像を被験者に見せ観察中に何を見て、何を考えていたか発話してもらいICレコーダーに録音を行った。アイカメラ(アイマークレコーダーEMBR-8B型標準セット)を用い得られた生データは全体的な傾向を確認し、解析ソフトウェアEMR-d Factoryを使用し、視線配置部位を空間的に分類し、部位カテゴリーを設定し、時系列による変化を読み取り、注視部位、注視時間を解析した。発話データは逐語録にしデータ化を行い発話内容の類似性に基づいて分類する内容分析を行った。平成20年度に行った調査結果を、平成21年8月に開催された日本看護研究学会学術集会に発表した。平成21年度に行った調査では卒業前の4年生を対象に行っているものも含まれており、平成22年度は、これまでの調査結果をさらに比較・検討を行い、結果を発表していく予定である。
|