本研究課題では観察や危険予測、対処といった看護師の臨床判断能力を病床環境観察時に焦点を当て、認知メカニズムの解析を明らかにすることを目的としている。平成21年度までは、病床観察時の視覚情報をアイカメラ(アイマークレコーダーEMBR-8 B型標準セット)を用いて注視部位や注視時間等の眼球運動の傾向から確認し、観察時に考えていることを発話しプロトコル分析により思考過程を明らかにするため、看護系大学生1年生~4年生を対象にデータ収集を行い、検討を行った。この結果の一部は、平成21年8月に開催された日本看護研究学会学術集会に発表した。第1段階のデータでは、観察した内容項目の抽出のみに至ったため、病床環境を整えるといった看護行為に至る前の病床環境から何を視覚情報として取り込み、取り込んだ情報がどのような意味をもっているのかについて半構成的面接を実施し、思考過程の検討を行った。単純に観察した項目だけでなく、観察したことの意味を問うことによって、観察者の思考の傾向の一部が確認された。
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