本研究の目的は、大学病院の主任看護師(以下主任)に対し、組織として必要な支援を検討することである。昨年度は、主任がその職位や役割をどのように捉えているのかを明らかにした。その結果を踏まえ、今年度は、大学病院に勤務する主任が役割を遂行する上でどのようなサポートを必要としているのかを明らかにするために質問紙による全国調査を実施した。 全国の200床以上の大学病院に、病棟に勤務する主任を対象とした質問紙調査の依頼を行った。調査対象者は、1年以上主任を経験した者とし、研究協力の得られた対象施設の担当者を通じ、無記名による自己記入式の質問紙を配布した。調査票は、平成20年度のインタビュー結果をもとに教育サポート、時間的サポート、経済的サポート、人的サポート、心理的サポートの各サポートについての質問項目を設定し、作成した。また、作成にあたっては、統計学の専門家より助言を受け、さらに分析においても助言を得ながら統計処理を行った。 全国の200床以上の大学病院117施設のうち、研究協力の承諾が得られたのは53施設(45.3%)であった。それらの施設に勤務する主任1561名に調査票を配布し、回収された860名(回収率55.1%)を分析対象とした。調査対象者の背景は、女性815名(94.8%)、男性39名(4.5%)、無回答6名(0.7%)であり、主任経験年数は3年未満(32.8%)、看護師経験年数は20年以上(53.1%)が最も多かった。主任が病院組織に望む役割遂行上のサポートは、管理者教育の充実や処遇改善等であった。詳細については現在分析中であり、結果は来年度の日本看護管理学会で発表予定である。
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