本年度は、プログラム開発に必要な2つの視点から研究を行った。1つは、背面を開放して座ることの検証的研究であり、背面開放座位が体内刺激として有効か否かを自律神経活動の観点から研究した。対象は健常者16名、研究デザインは実験研究、研究方法は、フラクレットWTソフトウェアVer. 4.0を用いて周波数解析を行い、高周波成分HFを副交感神経活動、低周波成分1高周波成分LF/HFを交感神経活動の指標とした。分析方法は、統計学的手法を用いてWilcoxon順位検定もしくは符号付検定を行った。結果、(1) 背面開放座位は安静仰臥位と足底を床に接地した頚部を自力保持した背面密着座位よりもHFが低下、LF/HFが賦活化した。(2) 足底を床に接地し頚部自力保持した背面密着型座位は、安静仰臥位よりもHFが低下、LF/HFが賦活化した。本研究により、純粋に背面を開放するという行為が自律神経活動の賦活化を促進する要素になっている可能性が示唆でき、先行研究と合わせると、背面開放座位の姿勢は、背面を開放すること、両下肢を下げて足底を床に接地すること、頸部を自力保持することが体内刺激としての要素になると分かった。 2つ目の研究は、背面開放座位の技術に関する現状調査である。背面開放座位導入の判断基準、座位前・中・後の患者に対する観察点や留意点、手順等をアンケートにて現状を調査し、プログラムとなる内容を抽出した。アンケートの配布対象は、背面開放座位を導入している医療施設の看護師及び在宅介護者であり、配布数は、569部で、回収部数は225部だった(回収率39.5%)結果はプログラム内容に不可欠と思われる内容が多数抽出され、本結果を次年度作成予定であるプログラム内容に含めていく予定である。
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