倦怠感に関する実態調査 背部マッサージの手技を検証する前に、肺がん患者の倦怠感に関する実態調査が必要であるため実施した。高齢がん患者と成人がん患者による倦怠感の差について分析したところ、有意な差はみられなかった。しかしながら、肺がん患者のうち約70%の患者が倦怠感があると訴えており、倦怠感緩和の必要性が示唆された。特に高齢がん患者は、倦怠感と自尊感情、倦怠感と抑うつでかなりの相関がみられたため、高齢がん患者がその人らしく治療を継続していくためには、倦怠感を緩和することが急務であることが明らかになった。 背部マッサージに関する手技の検証 現在も実験中であり、今年度の7月まで継続して実施する予定である。現在実施している内容は次のとおりである。 1)対象 : 20-30歳代の健康な成人30名で循環器系疾患および口腔外科疾患に罹患していない者とする。 2)実験環境 : 23-25℃、湿度50-60%の生理学実験室を利用し、被験者には背部を露出できる寝衣を着用してもらう。 3)介入方法 : マッサージの手技はタクティールマッサージを用いて行い、1回の介入時間は10分程度とする。30名の被験者を強い触圧刺激群と弱い触圧刺激群にランダムに振り分け、被験者の好きな音楽を流しながら背部マッサージを行う。 4)測定方法 : 主観的データ : 基礎情報・簡易倦怠感調査票・痛みの調査票・POMS短縮版・自由記述を用いて背部マッサージ前後に記述する。 客観的データ : 心拍数・自律神経活性は背部マッサージ開始10分前からマッサージ終了後20分まで継続的に測定する。体温・血圧・呼吸数は、背部マッサージ開始10分前からマッサージ終了後20分まで5分毎に断続的に測定する。また、被験者の脳波・背部皮膚温・および研究者の手掌皮膚温・唾液クロモグラニン活性は背部マッサージ前後で断続的に測定する。 5)解析方法 : 主観的データ : 背部マッサージ前後のデータを対応のあるt検定を用いて分析する。 客観的データ;背部マッサージ前後あるいは背部マッサージ前・中・後のデータを反復測定による分散分析を用いて解析する。
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