研究概要 |
精神科デイケアは, 精神保健福祉対策では通院医療に位置づけられるが, 充実した生活支援も行っている。生活支援は, 精神障害者の社会参加を促進するための重要な支援である。しかし, 精神科デイケアの生活支援の効果を検討するための, 精神障害者の生活機能に関する研究は行われていない。 そこで, 平成20年度は, 山形県に限定して予備的調査を行った。山形県に限定した理由は, 山形県の精神病床の平均在院日数が全国の平均在院日数よりも継続して短期間であり, 今後の継続した研究の結果を予測でき, 精神障害者の社会参加促進のモデルになりうると考えたからである。今後の調査を遂行する上で結果を予測でき, 有意義であった。 平成20年度の研究実績の概要については, 以下に述べる。はじめに, 山形県の精神科デイケアおよび精神障害者小規模作業所の職員を対象に, 施設の現状などについて聞き取り調査を行った。その結果, 精神科デイケアでは, 提供している支援の質を検討する必要性がある現状が明らかになった。また, 精神障害者小規模作業所は, 障害者自立支援法の施行により, 就労継続支援事業などに移行する施設が多くなり, 今後の活動のあり方を検討している現状であることが明らかになった。縦断調査を行い, 支援の効果を検討する本研究は, 精神障害者の社会参加を促進するために意義があると考えた。 そこで, 山形県の精神科デイケアおよび精神障害者小規模作業所の通所者を対象に予備的な質問紙調査を行った。精神障害者生活機能評価尺度(他者評価式)を使用するため, 各施設の職員から回答してもらった。その結果, 質問紙の不具合を修正し, 質問紙の完成度が高まった。次年度は, 調査規模を拡大し, 縦断調査(第1回目)を実施する予定である。
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