研究概要 |
精神科デイケアは,精神保健福祉対策では通院医療に位置づけられるが、充実した生活支援も行っている。生活支援は,精神障害者の社会参加を促進するための重要な支援である。しかし,精神科デイケアの生活支援の効果を検討するための、精神障害者の生活機能に関する研究はあまり行われていない。 そこで、平成20年度は、山形県の精神科デイケアおよび精神障害者小規模作業所の通所者を対象に予備的研究を行った。今後の調査を遂行する上での様々な予測ができた。平成21年度から23年度では,精神科デイケア通所者の生活機能を評価指標にし、精神科デイケアについての縦断研究を行った。 平成23年度は,3年間の縦断研究のうちの3年目であった。平成23年度の研究の目的は,精神障害者の生活機能の変化を明らかにすることである。対象は,平成21年度と同様の、精神科デイケア通所者915名、および精神障害者小規模作業所通所者417名であった。方法は、精神障害者生活機能評価尺度などを用いた質問紙調査であった。分析対象は、平成21年度から平成21年度の3回の質問紙調査に未回答のない、精神科デイケア通所者56名(6.1%),精神障害者小規模作業所通所者80名(19.2%)であった。平成21年度の生活機能を基準に、1年後の生活機能、2年後の生活機能の変化を検討した。 その結果、精神科デイケア通所者の生活機能は、1年後が高い傾向にあり、2年後は現状を維持していたことを明らかにした。生活機能の下位尺度である活動点と参加点については、活動点が向上していた。精神障害者小規模作業所通所者の生活機能にはこのような変化がみられなかった。精神科デイケア通所者の生活機能は直線状に向上するのではなく、変化しながら少しずつ向上する特徴があるのではないかと考えた。
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