研究課題
平成20年度は、透析患者の変化ステージ別レディネス把握ツールの開発に向けた文献研究の結果、レディネスの必要条件の一つに「態度」があることが明らかとなった。そこで、先行研究等で血液透析患者の態度について検索するが、私が調べた範囲では該当する研究は見当たらなかった。レディネス把握ツールの開発のためにはこの「態度」を明らかにする必要があるため、平成21年度は血液透析患者の食事管理に対する態度を質的研究(エスノグラフィー)にて明らかにする研究を実施した。態度とは、「人や事物、社会問題に対してもつ、一般的で持続的な、肯定的または否定的な感情」であり、感情、認知、行動の3成分をもつ。そこで、3成分のうち主に行動は参与観察で、感情と認知については半構成的面接でデータ収集を行った。データ収集は京都府、群馬県、宮城県の3府県で9人を対象に行った。行動を明らかにするための参与観察では調理実施場面を観察し、感情や認知についてインタビューガイドを作成し面接を実施した。結果、行動では、今回の対象は全て検査データ良好な透析歴が長い患者であったが、調味料などを1回ごとに計測するのでなく、経験知から目分量で調理を行っている対象が全員であった。その中でもカリウムが高いことを恐れる感情があり、生野菜の制限を行っていないが、必ず水でさらすという行動を行っていた。どの対象も透析導入時は栄養士の食事指導を厳密に行っていたが、毎日の調理や食事内容と検査データとの関係を振り返ることで、自分なりの経験知を習得し、徐々に厳密な管理から目分量での管理と移行していった。その行動を支えている要因の一つとして、家族の存在が示唆された。
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群馬保健学紀要 30
ページ: 9-18
日本透析医学会雑誌 43(5)(in press)
日本腎不全看護学会誌 11(2)
ページ: 70-76