本研究の最終目的は、術後せん妄ケア・アルゴリズムの使用により、術後せん妄の発症状況、発症から収束までの状況などの分析から、本アルゴリズムの臨床的有用性について調査・実証することである。また、その得られた結果を、術後患者の看護へ有効に利用するための示唆を得ることである。 術後せん妄ケア・アルゴリズムのケア・セットのプログラム化を行うに当たり、看護師に対する聞き取り調査と調査病棟での実態調査を行なった。術後せん妄ケアの具体的な内容について、1施設での調査を行った結果、A病院では、医師からせん妄出現時の指示をあらかじめもらっておくことや頻回の訪室、センサーマットの使用、ミトンなどの抑制具の使用、観察室への移動など実施していた。これら病院で行われているケア内容と項目を抽出し、文献検討の結果とを分類・分析した。その結果、せん妄へのケアとして有効といわれている具体的なケア内容、および病棟で実施可能なケアを選定し、研究で使用する「術後せん妄ケア・アルゴリズム」の予測項目、ケア・セット(プログラム):案を作成した。このケア・プログラムの作成に際しては、せん妄研究の専門家、臨床のエキスパート看護師などとの意見交換を行っている。 現在、「術後せん妄ケア・アルゴリズム」を実際に使用して、その有用性についての検討を行う施設との最終調整に入っており、実際のデータ収集の準備が行われている。科研費の補助は終了するが、今後もデータを収集し、研究を継続・結果の報告を行う予定である。
|