研究概要 |
本研究は, 筋萎縮性側索硬化症(以下, ALS)患者とその家族の,診断時から呼吸器装着前までのニーズを明らかにし, ALS患者, 家族への支援プログラムを作成してその効果を評価することを目的としている. 本年度は, 主治医からALSと診断を受けた後にALS患者と面接し, 現在の思いを聴き取っていった. その中から患者のニーズをアセスメントしニーズに沿った支援内容を検討し実践した. 診断後の面接により抽出された患者のニーズは, 以下の4つであった.「どうやって病気と付き合っていったら良いのか泣いてばかりいる.といった【精神的支援】また, 「どうしてこの病気になるのか」「治ることはないのか」といった【病気の知識の提供】を希望していた. また,「いつ頃寝たきりになるのか」といった進行への不安が強く, 病気の進度を心配し, 仕事・家事の継続ができるのかということを考えていた. 日常生活に支障がある場合は, 進行に伴う生活調整をするため, 介護用品や在宅サービスの利用をどうするかといった【制度・サービスの情報提供】を求めていた. そして, 仕事の継続と合わせて, 【経済的問題に関する相談】も多く,診断時から, 身体的・心理的・社会的問題に関してトータルなサポートの必要性が示唆された. 以上の患者のニーズに合わせて支援を行い, その他, 進行性の疾患であることに着目し, 看護師は, 療養の場の選沢, 患者を取り巻くネットワーク構築を視野に入れて, 面接, 介入を行っていた. 侵襲的人工呼吸器(以下, TPPV)装着前のALS患者は「診断直後の時期が一番辛かった」と語り, 診断直後からのサポートを求めていた. そのため, 本研究は, 診断時から患者のニーズに合わせた介入をしながら, その介入の効果を明らかし, 診断からTPPV装着前の時期の支援の基準化に役立てることができるという点で意義がある. 次年度以降, 支援内容の効果を評価していく.
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