本研究の目的は、心不全及び心疾患に広く用いることのできる健康に関連するQOL尺度であるMacNew Heart Disease Health-Related Quality of Life Questionnaire(以下MacNew)の日本語版を作成し、信頼性及び妥当性を検討することである。平成20年度には、207名の慢性心不全患者を対象に、信頼性及び妥当性の検討を行い、MacNewの日本語版が作成され、使用可能となったが、心疾患が慢性心不全患者に限定され、かつ、約9割が高齢者であったことから、これが限界となっていた。そのため、平成21~22年度には、成人の有職者や、急性心筋梗塞発症後の患者を含めた、心筋梗塞患者342名を合わせ、合計549名の心疾患患者のデータを基に、再度日本語版作成を試みた。その結果、原版と同様に、因子分析では3因子構造が確認された。また、MacNew総得点と3つの下位尺度間では高い相関が、SF36の各下位尺度との間では中程度の正の相関が、HADSの不安とでは負の相関が認められたことから、基準関連妥当性が確認された。心機能の分類(NYHA)によるMacNew平均得点の比較についても、NYHA I II群がIII群よりも1%水準で有意に得点が高かったことから、構成概念妥当性についても確認された。さらに、Cronbackα係数は0.9以上と高く、内的整合性も確認され、慢性心不全患者のみを対象とした結果よりも、より高い信頼性が確認された。以上から、心疾患に広く用いることのできる健康関連QOL尺度が使用可能となった。
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