本研究課題は、死後の処置場面において、新人看護師の抱く感情がどのように看護行為へ影響しているのかを明らかにし、看取りの看護提供者への支援体制のあり方を検討することである。 今年度は死後の処置時における支援体制のあり方を検討するために都内A大学病院に勤務し、初めて新人教育を行なっている看護師(プリセプター)6名に対し、看取りに対する支援の現状に関する予備調査を実施した。また、死後の処置経験を積むことが、看護師として成熟する過程にある新人看護師の思いにどのような影響を及ぼしているのか実態を明らかにし、継続する思いとの関連を追求した上で支援体制を構築するため、初めて総合病院に勤務する新人看護師9名を対象に入職時、入職6か月経過時、入職1年6か月経過時の3回にわたり、初めての死後の処置場面において生じた思いとその後の思いについて実施した縦断的調査を再分析した。結果、初めての死後の処置時には、目の前で起きた生体反応の変化に伴う現象に対する思いにとどまっていること、抱いた思いは《否認》《恐怖》《悲歎》《驚愕》《放心》に関するものであることが明らかになった。また思いに影響を及ぼしている要因は、(1)看取り経験の希薄さ、(2)実施介入状況、(3)実施時期、(4)死後の処置内容、(5)職業規制、(6)先輩看護師の態度、(7)死生観、が得られた。これらを踏まえ、第1回質問紙調査票を作成した。現在、B県内355病院のうち本研究に同意が得られた66病院に、平成21年4月新人看護師として就職する予定である626名を対象に、就職時の死後の処置に関する基礎教育での学習状況、看取り経験および死生観などに関する自記式質問紙調査を実施している。今後は現在回収中である、第1回調査の結果を踏まえて、第2回調査を実施する予定である。
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